大村はま記念国語教育の会

東京大会 準備着々

本年度の研究大会は大田区立石川台中学校で。11月12日(日)は目の前に迫った。準備は着々と進んでいる。このホームページの研究会情報のページで二次案内をご覧いただき、奮ってご参加を! 参加申込みの締め切りは過ぎたが、受け付けは続行中だ。

石川台中学校は、大村はま先生が50年を越える教員生活の後半の20年近くを過ごしたところ。倉澤栄吉本会前会長、湊吉正会長をはじめとする多くの研究者、教員が大村国語教室の研究授業を見学し、単元学習が成熟を深めるさまを、ここで目の当たりにした。さまざまな参観者が「このクラスには勉強のできない子はいないのか?」と何度も尋ねたというエピソードを、大村先生は嬉しい思い出の一つに数えていた。参観者の目に、勉強を苦にしている子ども、勉強を投げ出している子ども、置いてけぼりにされている子どもが、見つけられない教室だった。

ここを会場として、大村はま記念国語教育の会としては初めて研究大会を開催することとなった。大村先生は2年近くもこの場所で魂を注ぐように教育の仕事をしたのであるから、会場にその気配が漂うのではないか、とも思われる。

まず実践研究発表。小学校は、第一回大村はま奨励賞を受賞した埼玉県の山本賢一さん、中学校は筑波大学附属中学の五味貴久子さん。ともにその単元学習の充実ぶりは定評がある。二つの実践を総括し重要な観点を示してくださるのは、甲斐雄一郎筑波大学教授だ。

午前の部の最後には、第二回大村はま奨励賞の発表と授賞式がある。審査員の講評と受賞者挨拶が予定されている。若手教員の教室でどんな新しい実践が生まれているのか、確かめたい。

午後は、本会の研究大会では初めてワークショップが三教室に分かれて行われる。

教室Aは赤坂中学の甲斐利恵子さんによる読書会。魅力的な読書会の実際が示される。テキストは当日配布となるので、特段の準備は不用だ。

教室Bでは、鳴門教育大学の村井万里子さんが、教室での音読、暗唱を指導なさる。「音読」のあり方について、芦田恵之助先生由来の「てびき」の精神の源の一つとして、実践的に考える。

教室Cでは、石川台中学で大村教室の生徒であった苅谷夏子事務局長が、「学習のてびき」の実際を、使う側から、作る側から具体的に紹介する(一次案内とは内容に変更があった。お詫びの上、訂正する)。

メイン会場に戻って、大村教室の卒業生による証言。内海まゆみさん、山本亜里さん、苅谷夏子さんが登壇する。大村教室の何が人を育てたのか、生徒たちは何を受け止めたのかが語られることになる。学習記録と読書生活の記録に焦点が当てられる予定である。

講演は、桑原隆 筑波大学名誉教授による「大村はまの実践:メタ言語認知力を育てる没メタ言語認知的方法」。このタイトルを読むだけで、今から心を惹かれる方が多いのではないか。

プログラムの最後は、本会会長、湊吉正 筑波大学名誉教授の「展望」で、この一日を締めくくっていただく。

いきいきとしたことばが育つ教室を目指すからには、研究大会で交わされることばもいきいきと深いものであるべきだろう。それが実現できることを念じながら、準備は進んでいる。

ぜひ、お仲間を誘って奮ってご参加を。大会案内をご覧の上、事前申込みにご協力いただきたい。ワークショップは一つを選んでご参加いただくことになる。記入をお忘れなく。

夕刻からの懇親会は、なごやかな交流とさらなる意見交換の場となるはず。どなたでも歓迎します.

《 考えるヒント52

長い間、興味をもっていて、その興味が子どもに移っていったような感じです。子どもの興味が私の興味になったり、私のものが子どもの興味になったりして、どっちがどっちということはない、単元は両方の興味に支えられていくという気がいたします

『大村はまの国語教室3』より

 《考えるヒント》はどんどん更新されますが、古いものは「大村はまのことば」のページに加えられていきます。思考をぐらりと揺らすことばに出会っていただけますように。

大村はま記念国語教育の会は、2005年、大村はまの死去の後、その業績と思想に学び、検証し、実践に結びつけたいと念じた仲間が結成した研究団体です。初代会長は倉澤栄吉氏、現在の会長は湊吉正氏で、会員は全国各地に、およそ250人ほどいます。2013年には、イギリスにロンドン勉強会も発足しました。

教育の現場は社会の変化を受けて、実にさまざまな課題を抱えています。多くの教員が、仕事に忙殺されながら、それらの課題を前にして苦闘しているというのが現実です。大村はまという先達に注目して考えていくことによって、一つの「ぶれない軸」を見出すことができます。そういう軸を持って現実に向かっていくことで、子どもを育てる仕事を一歩一歩進めていきたいと考えています。

この会の主な事業は次の通りです。

・研究大会の開催
・会報「はまかぜ」(年3回)の発行
・各地の勉強会への助成、協力
・大村はま奨励賞の授与
・本ウェブサイトの運営
・その他

「ことばを育て人を育てた国語教師・大村はま」の実践に学ぼうという方を歓迎します。
年会費は4000円(入会金不要)で、入会資格は問いません。
入会のお問い合わせは下記事務局までどうぞ。

大村はま記念国語教育の会事務局  hokokugo@gmail.com

学びひたり
教えひたろう
優劣のかなたで。

出典:大村はまの遺作「優劣のかなたに」

知の達人としての大村はま先生

大村はま記念国語教育の会会長 湊 吉正

大村はま先生の歩まれた足跡、達せられた境地を表現する一例として「知の達人」という言葉が想起されます。大村はま先生は、生涯、生徒たち一人一人をすぐれた言語生活者に育て上げることを目指されながら「教えること」の経験を積み重ねられることを通して、「知の達人」に到達されました。  大村はま先生は、また一面から見れば「教育的英知の体現者」ともいうべき存在でありました。それだけに、大村はま先生から私たちが学び取るべきことは、私たち一人一人の学び取る姿勢に応じて、大海のように無限に広がっているように思われます。  大村はま記念国語教育の会の事業として、全国各地の研究会において、大村研究が進められております。それらが、ともに学び合う会として実り豊かな研究集会になりますように。皆様のご参加・ご入会を期待しております。

研修の場としての本会

本会理事長 安居 總子

今いちばん心配なことは、若い人たちが「大村はまを知らない」ということばに象徴される、教育の不毛ではないでしょうか。その心配は、教員の資質向上のための教員研修のあり方を模索するという形になって表れています。だからこそ、大村はま記念国語教育の会の研修のありようが、研修の一つの形として重要な意味を持つと考えられます。「研修に参加してよかった」「なにか心の中にずっしりと重たいものが残った」「これならモチベーションを持続できそう」といった声の上がる触れあい、語り合い、学びあいの「場」としてこの会があること、そしてありつづけること。本会の意味はそこにあると自負しております。

本会は一般財団法人日本児童教育振興財団から助成を受けて運営されています